間葉系幹細胞を用いた細胞医薬品の製造方法

この記事について

これは、間葉系幹細胞製剤の製造についての記事です。
この記事は、研究者や大学院生を対象としています。
再生医療による治療を検討中の患者様を対象としているわけではありません

MSCの細胞特性

間葉系幹細胞(MSC; Mesenchymal stem cell)は、中胚葉性組織(間葉)に微量存在する体性幹細胞であり、世界で最も細胞医薬品として利用されている細胞源です。疾患への適応が盛んに研究されている細胞であるため、今後よりMSCの需要は高まると考えています。現に、多くのMSCを使った医薬品が、臨床開発されております。

MSCは、生体内において脂肪・骨髄・臍帯血などに存在しており、幹細胞としての特性である「自己複製能」と「骨や脂肪などへの多分化能」を持ちます。MSCを使って、骨細胞や軟骨細胞に分化させた組織を移植する事で、加齢や事故により損傷した骨格系の再生が可能と考えられています。特に関節軟骨には、血管が存在せず自己修復が不可能であるため、再生医療における細胞移植の重要なターゲットとなっています。

さらに、MSCの分泌するサイトカインには、免疫抑制性や抗炎症性を持つものも含まれていることから、臓器移植時に生じる急性移植片対宿主病 (急性GVHD)の治療にも用いられています。以下で説明するテムセル®が、その医薬品になります。

MSCは脂肪や臍帯血などに存在しており、比較的採取が容易であるため、世界で最も利用されている細胞源となったと考える事が出来ます。

MSCを使った細胞医薬品

以上のような理由から、MSCは様々な用途で利用されております。現在(2022年2月)までに日本で認可を受けたMSCを用いた再生医療等製品を紹介いたします。

テムセル HS注® (JCRファーマ)

ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞であり、急性GVHDの治療に使用されます。薬事法の改正された翌年の2015年に承認されており、治療実績の高い医薬品であると言えます。こちらは、世界で初めてのMSC製剤であり、日本初の他家細胞を用いた医薬品です。初となる快挙を複数持つテムセル®は、2021年度に24億円売り上げています。

ステミラック注® (ニプロファーマ)

ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞であり、脊椎損傷に伴う神経症候及び機能障害の治療薬です。MSCが、障害を受けた脊椎に遊走して神経細胞へと分化する事で、神経機能を回復させます。脊椎損傷というと治らないものであると認知されておりますが、このステミラックの開発により治療可能な疾患となりました。脊椎損傷で立ち上がる事が困難になった患者様を救う可能性を持つ画期的な細胞医薬品であると言えます。

アロフィセル注® (武田薬品工業)

同種異系脂肪組織由来間葉系幹細胞で、クローン病に伴う複雑痔瘻に対する治療薬として用いられます。こちらは、痔瘻幹部の炎症部位においてMSCの抗炎症作用が、働く事で疾患を治療します。武田薬品工業の国内初となる再生医療等製品です。日本国内だけでなく、海外でも適応拡大に向けて臨床開発が進めている医薬品です。

MSCを使った細胞医薬品の製造方法

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